気ままにツーリングとモトブログ【I LOVE CB750F】

オーナーとなり39年目の愛車のCB750F。ついに還暦になった「ちゃれさん」がこのCB-Fを使って10数年後に最年長モトブロガーを目指す日記です(笑)

もし、CB-Fがロングセラーだったら物語⑭「馬鹿野郎ー!」

エンジン担当の佐藤はV-TECヘッドが完成したことをオヤジさんに報告に行く。
「できたか!」
オヤジさんは、椅子から立ち上がるや否や、小走りに試作室へと走っていく。
後ろから追いかける佐藤は、その子供のようなオヤジの行動を後ろから見ていた。
試作室に入ったオヤジさんは、CBのシリンダーヘッドを見て急に態度が変わった・・・。
「なんだ?これは?」
そう、V-TECの搭載により、あのCB独特の丸いカムカバーが無くなり、
エンジンは四角い箱のようになっていたのである。
1週間でV-TEC機構を完成させた佐藤は、その機能の素晴らしさや
性能の良さを誇らしげにオヤジの喜ぶ前で説明するつもりだったのである。
ところが、オヤジが「なんだ?」と言いながら、いっこうに喜ぶ気配も無く
何か雰囲気がおかしい・・・・。
「これじゃ、クルマのエンジンじゃねぇか!」
「お前らは、バイクのエンジンを作ってるんじゃないのかぁ?」
佐藤はあわてて、新機構の構造上、こういうヘッドの形でないと
複雑化し、部品点数の増えたヘッド内にスペースがないと説明する・・・。
すると・・
「バカヤローー!!」
いきなり、オヤジさんはエンジンの側にあったスパナを持ち、
佐藤に向けて振りかざした。
ビックリしたのは、佐藤だけではなく、廻りにいた研究所員たちである。
社内で伝説化していた「オヤジにスパナで殴られた!」という話が頭をよぎる。
まさにオヤジは、鬼の形相で怒っている・・・。
「お前ら、全員大バカヤローだ!、こんな不細工なエンジン作りやがって!」
「俺がお前らぐらいの時には、50cc4バルブだって作ってたんだ!」
「こんなのじゃダメだ!すぐに作りなおせ!」とどなり
スパナを佐藤に向けて投げつけると、オヤジは試作室を出て行った・・・。

佐藤は泣きそうな顔をしていた・・・。
しかし、泣いてる時間はもうない・・・残された時間は1週間だけである。
確かに、過去ホンダのエンジンは時計のように精密な・・と評された時期がある。
佐藤の力で、それを達成するには時間が無さすぎた・・・。

つづく・・・。