気ままにツーリングとモトブログ【I LOVE CB750F】

オーナーとなり39年目の愛車のCB750F。ついに還暦になった「ちゃれさん」がこのCB-Fを使って10数年後に最年長モトブロガーを目指す日記です(笑)

もし、CB-Fがロングセラーだったら物語⑲「プロジェクト BIG1}

営業サイドからのリッターバイクを望む声は、社内で一蹴された。
オヤジの遺作に何の文句があるのだ!という研究所をはじめとする声が強かったのである。
そう、本来ホンダは、排気量に頼らず、内燃機関としての性能を極限まで追求することで
高回転高出力型のエンジンで、大排気量車に立ち向かってきた。
その他社とは違う発想がホンダ党と呼ばれる熱狂的なファンを作っていたのは紛れもない事実である。
この意見には営業サイドは、ぐうの音も出ない・・・が、他社の出すフラッグシップモデルの
高性能化には痛い目を見ているのも事実だった・・・。
白バイに採用されて、すぐにフルモデルチェンジも出来ず・・・数年間はtypeRとボル4の2機種を
メインに大型バイクの販売を継続することになった。

96年に、これまで難関とされてきた自動二輪の大型の免許が教習所でも取れるようになる。
これによって、大型バイクの需要が一気に出ることは想像された。
さすがに研究所でも、このままではCB-Fそのものの存続に関わる問題として
新しい模索を始めることとなる。
新しい模索のプロジェクトは「BIG1」と呼ばれた。
そのプロジェクトチームは2つに分けられる。
従来からあるCB-Fシリーズの継続のために、改良を加えるチーム。
そして、オヤジから引き継いだホンダスピリットに恥じない新型車をゼロから開発するチーム。

BIG1とは・・・オヤジへのレクイエムでもあったのだ・・。

まったく新しい新型車の構想については、議論が噴出し、これといった的が絞れず、
数年間かけてでも、CB-Fの後継者としてふさわしいものでないと生産しないという方針が出る。

したがって、その新型車が出来るまでの間は、なんとしても、
またこのCB-Fにガンバってもらわなければならない・・・・。
他社のリッターバイクに対抗すべく、もともとの62mmのストロークに戻され
65x62の823ccのV-TEC装備をベーシックモデルとすることに決まる。
このとき、CB823Fが誕生する。
また、typeRは、外装形状をそのままに、カーボンタンク、カバー、などでさらに軽量化。
排気デバイスシステムを装備し、125psから135psへ、車重は178kgとさらに運動性能を上げた。

この2機種の改良は、思ったよりも市場の受けが良かった・・・。
バリ伝世代のライダー達が、簡易になった大型免許制度によってリターンライダー化するのである。
若い頃、あこがれたCB-Fに新車で乗れることは、何よりもうれしいことであったのである。
峠を安全マージンをもって楽しむ層にはtypeRが売れ、ツーリングライダーには823Fが売れた。

この、安定した購買層を持って、1979年に誕生したCB-Fシリーズは21世紀を迎えるのである。

つづく・・・。