86年の初頭から87年までボル3の販売は排気量からすると
信じられない売れ行きだった。
この実績を他のバイクメーカーが黙って見ているわけではない。
ホンダのように経営危機でもない他社は、ドンドンと新型車を投入していく。
ほとんどのメーカーは水冷化され、ハイパワー化している。
また、この次期からリッターバイクにもGSX-R1100等のレプリカモデルが出始め
逆輸入車として、国内のワインディングで徐々に見かけるようになり始めた。
漫画家しげの氏は、バリ伝の中で矢継ぎ早にリリースされる他メーカーの新型バイクを
次々と登場させグンの乗るCBと対決させていく。
ヒザすりっぱなしの3点支持コーナリング、ガードレールキックターン・・・
何とか毎回グンのスーパーライディングで勝利するのだが、さすがに新型バイクとの
あまりの性能差に、島崎メカニックを登場させ、より尖った性能を持つグン専用のCB750F
「島崎スペシャル」を投入して、グンの戦闘力をアップさせる。
CB750Fオーナーは誰もが自分のCBを島崎スペシャルのようにしようとした。
・・が、実際のボル3のオーナーにとっては、これは現実的でなかった。
なぜなら、ホンダのエンジンはカスタムショップ等でチューンするのが
難しいほど完成しつくされているのである。
その点、従来のZ系やGSX系のカスタムされパワーアップした車両との
峠のバトルでも不利な点が多くあった。
オーナーは、CBの乗り味には満足していたとは言え、
あまりの他社との性能差にくやしい思いをさせられていたのである。
本当に島崎スペシャルのようなバイクがあったら・・・と誰もが思っていた。
この事実は、88年になってからCBの販売数の減少になって表れはじめる。
しかし、せっかく売れ始めたボル3を、ホンダがこのまま黙って見ているはずはなかった。
ここ数年のCBの販売台数のおかげで2輪部門も多少のゆとりが生まれていたのである。
つづく・・。