夜明け前、寒さにふるえながらエンジンをかける
早朝、約束した港で彼が待っている
挨拶をかわし、たした世間話もない
今日は思いっきり走ろう
下道500kmは行く
少ない会話の中に、互いの自信がのぞく
今日は、彼が先導で俺はバディだ
彼のペースに黙って着いて行く
休憩も少なめ
雑談など必要ないからだ
走行中の無言状態の方がよっぽどわかり合える
クルマの合間をぬって高速レーンチェンジ繰り返し
ウインカーをちゃんと点けている
彼のバディへの配慮だ
気を使うな、いらないよ
後から見ていて・・・小さな動作で、もうわかる
メットの中で微笑む俺がいる
この季節、この距離、これだけの時間
走り続ける者同士にしかわからないものがある
互いに泣きを入れない走りの向こう側には
壮大な景色が広がっていた