たまたまだけどモンキーのキャブを交換したので、少しキャブレターの話をしてみたいと思う。
今となってはキャブレターそのものが過去のものになっているので、この話をすればマニアックな話になる。多くの若者はインジェクションが当たり前でキャブレター自体を見たこと無いかも知れない(笑)
そんな中でキャブレターの話を聞きたいと言う人は、少なからず現在キャブレターのついた乗り物を持っているか?興味があるか?と言うことだと思う。
まず基本的な話から始めよう。
最初にエンジンは4ストロークエンジンと言う前提で話をします。(2ストロークを絡めるとさりに面倒なことになるし(笑)
大きく分けてキャブレターには2種類がある。
負圧式と強制開閉式である。
これはキャブレター本体の中のニードルがついたピストンを持ち上げる方法の違いです。
このピストンが持ち上がると空気とガソリンを多く吸い込みエンジンの回転が上がります。
この持ち上げる方法の違いで負圧式、強制開閉式は変わります。
強制開閉はアクセルと直結したワイヤーでピストンバルブを引っ張って持ち上げる方式。
これによってピストンバルブが持ち上げられエンジンとエアクリーナー側との通路が広がり下から吸い上げられたガソリンがニードルの部分で霧になってエンジン側に送り込まれるもの。
負圧式はダイヤフラムと言う弁を使ってキャブレター内を通過する空気の負圧を利用して持ち上がる方式。
こちらはピストンバルブ自体にはケーブル等は付いておらず、アクセルはスロットルバルブの開閉を行う。スロットルバルブが開くことでエンジン~エアクリーナーの通路が広がり多くの空気が流れる。その時の空気の負圧でダイヤフラムがピストンバルブを吸い上げ、その結果ガソリンが吸い上げられて霧になる。
よりシンプルなのは強制開閉式です。
キャブレター自体の構造はシンプルですが、アクセルとキャブレターの動作が直結しているので、アクセルワークがシビアになります。特に大排気量の大きな馬力のものは1mmアクセルを開けただけでドンとバイクが出てしまい、ビックリしてアクセルを戻すと急にエンジンブレーキがかかったようになったりして、よほどアクセルワークを丁寧にしないとバイクの動きがギクシャクしてしまいます。
そういう不便さを解消するために生まれたのが負圧式のキャブレターです。これはピストンを上げる方法が空気の力なのです。アクセルワークはこの負圧を生む空気の量を変えるための動作になります。つまり、いきなり大きく無造作にアクセルを開けたとしても、そこを流れる空気が生む負圧をダイヤフラムが制御してキャブレターのピストンを持ち上げるのです。この空気と言う媒体をワンクッションおくことで穏やかなアクセルワークが可能になります。
ただし、この負圧式は空気というものを利用するので、ある程度の排気量がないと安定して作動しないのです。なので、小さなミニバイクなどには不向きです。また、キャブレターの仕様変更、セッティング等も難しいです。空気の流れる量でキャブレターの繊細な動作を制御するわけですから、デリケートなセッティングが出来るわけありません。
そういう理由でレースなどに使用されるキャブレターはほとんど強制開閉式でした。この両方のいいとこ取りをしたものがFCRキャブレターです。アクセルワークの難しさを減らし、ダイレクトな操作と繊細なセッティングを可能にしたのです。
僕の使っているCRキャブレターや、今回モンキーに使ったPC20やVM26などはシンプルな強制開閉キャブレターになります。
大きな排気量で4気筒のCBに使っている4連のCRキャブもひとつひとつはシンプルな強制開閉なのですが、4つの同調や発生する馬力など考慮すると知識や経験なくいきなり扱うのは難しいと思います。
例えば、僕が使っているモンキーのような小さなバイク、それも単気筒で色々と試しながら学ぶのが良いと思います。