きっと今の若い人は知らないと思うコムスターホイール。
その話をしてみます。
きっとコムスターを知らない人が見ると、凄く特殊なホイールを使ってカスタム化されたバイクに見えるようです。なんか?高そうなホイールでカスタムされてますね、みたいな(笑)
いやいや、このホイールはホンダ純正なんです。70年代後半から80年代にホンダが使っていたホイールです。まだまだキャストホイールが一般化されてない時代、バイクのホイールはスポークホイールでした。
レースのGPですら70年代の半ばぐらいまではスポークホイールでした。70年代後半ぐらいからレースでも使われるようになり、海外の一部の車種がキャストホイールを採用しはじめました。まだまたキャストホイールは高級品でカンパニョーロやダイマグと言ったブランド品でした。
そこにホンダが投入したのがコムスターでした。ホイールのリムにスポークの代わりのプレートをリベット止めしたキャストとスポークの中間的なものでした。謳い文句はキャストの剛性とスポークのしなりの両立でした。
当時、ホンダはレースを走る実験室と言い、このコムスターを世界耐久ロードレースに投入します。浮沈艦と言われたRCBです。その成果とイメージを持って市販車両に採用されていきます。
最初に使われたのが、CB750four2でした。しかし、リベットが剥き出しのスタイルを善しとしないことから、初期のこのモデルにはゴムのカバーかつけられます。
その後、ホーク2などホンダ車に採用がどんどんとされていきます。僕のCB750Fも同様にです。他社と同じを嫌うホンダはコムスターを全車種に使い始めるのですが、他社はキャストホイールを採用します。ここで、やっとバイクのタイヤがチューブレス化します。
ところが他社のキャストホイールの性能はコムスターを越え始めます。軽さ、剛性、デザイン性、製造コストなど。
ホンダもコムスターの形を変えて対抗します。通称、表コムスターから裏コムスターへ。
そしてブーメランコムスター、NSコムスターと。
しかし、レースでコムスターはもう明らかに強度不足でした。スペンサーの乗るNSR500の強大のパワーに負けてホイールが粉々になって転倒したり。
ここでコムスターホイールの終焉です。進化出来なくなったホイールは市販車両への採用も徐々に減り、ついには姿を消します。
コムスターホイール史上、最も革新的だったのはCBX400Fのホイール形状だと思います。ブーメランコムスターにインボードディスクの組み合わせ。
そして、時代は流れ・・・今はキャスト(鋳造)ホイールではなく、鍛造ホイールになりました。
そんなホイールの今昔物語でした。
のCB750Fと一緒にコムスターホイールを語る動画を撮りました。ぜひ、ご覧ください(動画は11/9 18:00に公開予約済みです)
更新日2019.11.8
公開日2019.11.9